隊員報告書0号

「我が任国、我が任務、我が使命」


○任国概略

 正式国名はHashemite Kingdom of Jordan
 立憲君主制で現在の国王は HUSSEIN Ibe Talal、ただし政治の実権は国王が行っている。
 国土面積は98000Ku、ただしヨルダン川西岸を含む。
 憲法でイスラム教を国教としているが、他の宗教の自由も保証されている。ただし国民の大多数がイスラム教徒であるため、社会生活や文化に宗教が及ぼす影響は大きい。
 気候は大きく二つに分けられ西部の地中海西気候地域と東部の砂漠気候とがある。
 イスラエルと国境を接する地理的状況より、パレスチナ問題の中心にある事が多い、現在もなお国土の一部をイスラエルに占領されており、イスラエル,PLO,アラブ連合等との関係に予断を許さない。

 歴史概略:
  1918-:「アラブの反乱」でアンマン解放
  1921-:イギリス、ヨルダン川以東(トランス・ヨルダン)をフセイン家に分け与える。
      これをトランス・ヨルダン首長国として保護領とする。
  1946-:イギリス、主権を委譲。国名を「トランス・ヨルダン・ハシミテ王国」とする。
  1948-:第一次中東戦争勃発
  1950-:占領地域を併合し国名を「ヨルダン・ハシミテ王国」とする。
  1952-:タラル現国王即位
  1967-:第三次中東戦争、ヨルダン川西岸占領地域を失う。
  1970-:パレスチナゲリラとの内戦多発 (「黒い9月」事件)
  1988-:ヨルダン川西岸占領地域の法的,行政的関係を断絶

 所見:
 国としての歴史は浅いが、国王家はイスラム教の予言者モハメッドよりのものである。また、国土のほとんどが古くからの歴史有る由緒ただしき(?)土地なので、国民,民族としての誇りは高い。また国民のおよそ95%がイスラム教徒で、イスラム教が社会生活や文化に宗教が及ぼす影響は大きい。
国内における風俗習慣のほとんどがイスラム教の教えの基ずくものからなっている。従って国民を理解するためにはイスラム教の教えを良く知っておく必要がある。
 また、国王はその家柄故か国民から尊敬され、支持されている。さらに外交を良く行いこれによって数々の地域問題や、援助等を旨く支えてきた。今日のヨルダンを築いてきた大変に優れた人物と言えよう。アラブ・イスラム諸国との関係でも常に自らイニチアチブを採り、影に表に外交を行って来た。
 現在、近隣アラブ・イスラム諸国との関係は、二国間関係の強化を図っている。またパレスチナ問題は特に慎重な方策を採っており、最近イスラエルとPLOとの間に和平協定が結ばれたもののいまだ予断を許さない。
 経済面では、他のアラブ諸国と異なり産油されない為貧しく、そのほとんどを援助に頼っている。特に近隣アラブ諸国からの援助が多く、従ってこれらの国の経済状況の影響をまともに受ける。湾岸戦争後は著しい経済的悪化に陥った。
 イスラエルと国境を接する地理的状況より、アラブ・イスラム諸国から非常に多くの援助,協力を受けている。これによってに経済が支えられており、国としての自立がなされていない。これはイスラム教の「富める者は貧しい者に…」的な考えで将来的な自立へ向けての多くの問題を持っている。
 アラブ・イスラエル対立の関係で長く平和的解決を目指しており、米国、西欧からの援助も多い、わが国はアラブ諸国を除く二国間援助の内米国に次ぐ勢いがある。


○任国における活動

 現在、31名の隊員が任国で活躍中で、教育文化活動に従事している隊員が多い、赴任先では、国情的に日本に対しては比較的友好的でこれと言ってあまり問題は無く、好評の様だ。
 自分の赴任先は、首都アンマン市のムガバレインにあるヨルダン電力庁の中央制御所のなかの所内設備用機器、及び全国数箇所に有る発変電所の所内設備用機器を保守、修理を行う部所である。
 部所内の担当者達は優秀で欧米や旧ソ連の立派な学校を出で、博士号等を持っている人もいるらしい。ここで、職員は基礎技術は有るが経験が乏しくこれを補う為に協力隊の派遣を要請している。
 しかし、基礎技術があって、博士号もあって、2年も勤務していれば、一体何の経験が乏しいのか?全く理解できない。そもそも基礎技術があれば、多少経験が浅くても、全く問題無く日々の業務を行えるし、経験だけで基礎技術の無い者よりも数倍良く業務を遂行するのではないか。一体赴任先が何を求めて要請しているのか?良く理解し得ない。
 以前の赴任していた隊員の報告を読んでも物が必要であっても人が必要ではない感が強い。
 自分の満足の為だけの協力活動に終始しては、あまり意味がない様な気がする。とすると前任者の様に視覚的効果を狙った協力を中心に、赴任先以外での協力活動をも展開する事とすべきか?


○赴任前の抱負

 配属先が直接協力活動の必要を逼迫していないことから、自分の協力活動はまず、現地で出来る協力活動の詮索から行う必要がある。以前赴任していた隊員の報告より全く協力活動を不要としてはいないが、別に(協力隊員が)いなくても業務に差し触らないと言う状況である。
 一体何の為に要請が出ているか多く疑問があるが、出来る限りの事はやってみたい。日本の状況,様子がそのままはあてはまらないのだが、電力会社の制御所で、電子機器の実務経験がどの程度必要かは、甚だ多くの疑問がある。
 もともと自分はメーカーに勤め業務を通じ海外への協力を行ってきたが、企業レベルでは絶対に不可能なことがあるので協力隊に参加した。従って学校等で教育を行うよりも一層初期の意図に近いものがあるが、赴任先の担当者が立派過ぎるので非常に大きな不安を感じる。

 赴任後の予定、というより想像を基にした赴任後の計画(果してこんな物が役に立つのか?)を記してみる。
    初期1〜2週間:
             赴任先の機構、状況の分析
             赴任先の担任者の名前、役職の把握
    1〜1.5ヶ月:
             赴任先の設備の把握
             頻繁に発生する問題の把握とその解決方法の確認
             頻繁に使用される部品等の入手方法の確認
    1.5〜3ヶ月:
             赴任先に不足しているもの(人、物、知識)の把握
             これらの解決手段の把握と確認。
             それ以降の予定の立案


○その他

 その他として余暇の利用法等を記す。
 帰国後、電験の資格を取りたいのでこれの勉強をせねばならない。これは、必ず必要なので余暇にはならないかもしれない。
 音楽を聞くのが趣味の一つであるので、任国で、壊れた電気製品を拾って直してステレオを作って聞いてみたい!出来ればVTRやLDなんかもあればいじってみたい!今自分の置かれている国内での環境を現地で再現し、「物質的な豊かさなんていかに安っぽいか!」 そして「電気って簡単で面白いよ!!」という啓蒙活動を行って赴任先以外の協力活動を行いたい!
 前任者の報告によると、様々な電気製品が捨ててあったり、ジャンク屋があったりで、とても楽しみだ!とてもじゃないが暇を持て余す事は無いだろう!
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